ブーム到来、の影に・・・

教育にはいろんな流行があります。
ちょっと前だったらギガスクールに代表されるICT
もそうですし、その前は高大接続・英語民間検定試験
ブームだったり。

探究活動もその一つになってる気がします。
探究活動が活発で、東大にバンバン推薦で合格します!
日本各地の高校、進学校から、元々は進学校
じゃないところからも「えっ!」というような
大学に入学した。その真実は!?
みたいな報道が以前は結構流れました。

その次にきてるのが多分アントレプレナーシップ
だと思うのですが、この二つは連動してると
個人的には感じます。

探究活動自体はシンプルなものですが、
「じゃ、実際の学校運営にどう落とし込むのか?」
「既存の高校の活動の枠組みでどう運用するのか」
といった具体がないままに各学校の実情や
生徒の実態に合わせて各学校で運用しなさい
といういつもの定型句で降りてきたわけです。

しかもコロナパンデミックの最中。
現場の混乱と共にギガ、探究とやってきた
そんな頃はまだマシだった気がします。
まだ学校機能がある意味コロナ休校で麻痺して
いたわけで休校という混乱はあったものの、
オンラインとか上手に活用することで
探究が、意外とすんなりと、一部は始められた
気がします。

ただ、休校からの復帰に合わせて日常が
帰ってくるわけです。そして学校の「体制」
として探究をどう実施していくか、
各学校にのしかかってきたわけです。

教科書があるわけでもない、でも、
教科指導、特別活動(中でも生徒会活動や
部活動、学校行事は教員・生徒ともに成長の
機会でもありますが負担感もあるわけです)
その上で何も仕事がヘリもしない中で
「新しい活動が増えました、探究です」
って言われても現場の教員からすると、
「なんやねん」
って話になるのは至極当然です。

また、教科書がないので何をやったら
いいかわからない、それを可児高校は
ある意味「何やってもいい」とよみかえ
に成功しましたが、教科指導で教科書が
あるのが当たり前な環境で仕事をされてる
真面目な先生方からすれば「何をすれば
いいかわからない」探究はある意味恐怖
です。指導書、指針、なんでもいいから
欲しいというのが本音だったんじゃないかと
思います。

そんな折、アントレプレナーシップ系の
講座がポツポツと増え始めました。

起業、といっても社会課題解決を
ビジネス化してサステナビリティを上げる。
行政からしても、自営業者が増えるとか
地元でビジネスを若者が始めてくれる萌芽
になればいい、という思惑もあります。
学校からしても何をやっていいかわからない
よりはマシですし、実際、探究プロセスとの
相性がいい。探究の教材も今では雨後の筍
状態ですが、当時は某教科書会社が出してた
青い本ぐらいだった記憶です。そこに
マイプロ・ベネッセが入ってきて、今の
戦国春秋時代ですか?って感じの業界に
成長したわけですが、まだ当時は数えるほどの
選択肢しかなく、教材をとりあえずやらせてる
って学校の話も耳にしてました。

それに比べれば生徒も生き生き取り組むし、
なんてったって、見栄えもいいし、聴こえもいい。
地域の課題を解決するわけですから。

可児高校としてもOYWJとの協業はじめ、
そのエッセンスは散りばめてましたし、
ソーシャルビジネス、GSE投資、
ゼブラ企業支援、それぞれの分野の猛者に
講師してもらってきてましたから、
悪くは言えません。

ただ、「なんでもいいからとりあえず、
考えてみたら、やってみなよ」と背中を
押し続けてきました。今年もいくつかの
探究活動がビジコンに出たり外部のコンペに
チャレンジしたりしてます。それはそれで
対外的な評価を得るためには必要だし、
生徒もそういうものをやりがいにしてる
部分もあるのでいいと思います。

ただ、総合型選抜入試がそういう成果を
競り合うコンペになってきてる気がして、
自分的には気がかりでした。
そんな中先日こんな記事を読み、自分の中で
「探究活動をアクセラレートするのも大事だけど
どこで畳むかも決めて始めないと生徒の負担は
計り知れないな」と思う今日この頃なのです。

今、指導してる探究活動の中でも、
いい線言ってるけど、いろんな活動と
バッティングして身動きできない生徒さんも
いますし、本当、今の生徒さんは忙しすぎます。
その上探究で地域でアクションをしてる
全国の高校生の皆さんには頭が下がるわけですが
部活動、課外活動、模擬試験、追試・・と
日頃から忙しい皆さんにさらに探究って
正直言っていいのか迷いがあるのも事実です。

ですので可児高校は二階建てシステムです。
基本は週1の総合的な探究で完結するような
サイズ感は大事かな、と思います。
プラスアルファ、本当に本人がやりたいと思えば
空いた週末とか長期休業を有効活用して欲しい、と
思います。実際それでも結構な成果は出せる予感は
ありますが、まだ年間計画等も改善が必要かなと
思ってます。そういう動線管理も大事ですし、
「何をどのタイミングで」みたいなカリキュラム設計
はもっと重要だな、と思います。

ちょっと色々なことがあって今年を振り返る、
というほどの記事ではないんですが、ちょっと
心に刺さった記事を皆さんに紹介したく、
投稿させていただきました。