44期グループ探究・ミニ探究へのリフレクション
1組
2グループとも現状分析からスタートしていました。
4班は現状留学しない理由を「留学資金がかかる」から、
この解決策として現状「トビ立て留学ジャパン」があるにも関わらず、
それを利用して海外留学に行く生徒数が多くないことに着目し、
留学支援策をPRする、という解決策を考えていました。
渡部's view
「なぜ?」を5回繰り返そう。
なぜ留学者数が増えないのか?
↓
なぜ「トビ立て留学ジャパン」等資金支援策があるけど増えないのか?
↓
お金があれば本当に留学するのか?(お金以外の要因があるのでは?)
↓
問題(課題)を抱えているのは、高校生?保護者?高校?
←課題に関わる全ての当事者ごとに課題を洗い出す・・
こういった作業をすることで課題を洗い出すことができると思います。
参考にしてください。
2班はさらに踏み込んで、経済的な課題だけでなく「留学したいと思ってる高校生でも不安を感じている」ところで「グループ留学」を提案しており、具体的な提案だなと思いました。あとはプランニングの問題で
・費用負担は誰がどのぐらいするのか?税金なら財源はどうするのか?
・誰を対象にするのか。グルーピングはどうするのか?
・行先はどこで、どんな目的でどのように実施するのか?
プランニングする際の要素を洗い出して、「漏れが無いか」自分たち以外の人たち(上級生やゼミの先生、正副担任の先生)に聞いてもらい、疑問点をどんどん洗い出していくとより精緻なプランニングになると思います。
(また、そういった事例がないか?先行事例を洗い出すことも並行作業で行うといいでしょう。)
3組(グループ名が分からないのでファイル名順にABCD,,としてます)
・グループAは課題を「言語」「資金」と分析しました。2点の解決策を言語の不安に対し、日本の高校の授業で英語で行うといった提案をしていました。
・資金に対しての課題は、お金を自助できる支援(アルバイト、募金、最近ならクラウドファンディングですかね?)や助成金のような税金投入、そしてお金を受け取る制度が難しい、分からないといった課題をあげていました。政府や自治体の現在の取り組みも調べていました。様々な支援策が「既にある」ことが良く分かります。
渡部's view
現状支援策がまあまあある→じゃ、なぜ増えないの?と問題の焦点を絞ろう
課題は山積していますが、我々もやれることが限られます。リソース(人の労力、お金、時間)も限られていることから、「どの問題に注力するか」を根拠をもって決定する必要があります。これを課題の焦点化と言います。
「お金の問題」と「意識・認知の問題」どちらがより重要でしょうか。どちらが解決しやすいでしょうか。またどちらが解決後のアドバンテージが大きいでしょうか。
重要性 解決可能性 解決後の利点
経済的問題
認知の問題
こんな感じでマトリクスで分解して考えてみるのも手です。
B班
そもそも留学しても価値が学校にあまり認められないんじゃないか?ということで「単位認定」することを提案し、また、現実的な短期留学に焦点を当てていました。率直な意見で高校生らしいなあと思いました。確かに留学先で学んだ科目を在籍する高校でもっと単位認定すれば、留年せずとも3年で卒業できるメリットはありそうです。逆に「現状、岐阜県の高校で留学における単位認定制度はどうなっているのだろうか?」という疑問もわきます。また、短期留学特に夏季休業等を利用した場合単位認定がそもそもされるのか?という疑問もあるのでこの二案を組み合わせて提案するのか、別々の案として提案するのか、といったプレゼン上の構成も含めて考えるとより良い提案になると思います。(相互に矛盾する場合はプランニングを考え直す必要も出てくることも・・)
C班
「デメリットを上回るメリットを知らない・分からない」という認知の課題を挙げていました。これは政策立案的には非常に重要な考え方で、政策ディベートでは
コスト&ベネフィットで考える
プラン実行によって発生するアドバンテージ
>実行によって発生する(不実行による)ディスアドバンテージ
こういう状態でないとやる価値がない、つまり、
「コストアンドベネフィット」の考え方が
論理的に説明しやすいロジックとして用いられます。
プラン実行によって発生するアドバンテージ
≦実行によって発生する(不実行による)ディスアドバンテージ
ならば、やるだけ無駄、ということになります。
プラン実行によって発生するアドバンテージ
=実行によって発生する(不実行による)ディスアドバンテージ
でも、実際はコストがかかる以上はマイナス、と考えます。
つまり
どんだけお金がかかったとしてもそれに対してリターン(見返り)があればやるべきだと考える人が増えます。今、層じゃないという事はそもそも「その見返り(旨味)がある」と感じている人、感じられる人、知っている人がそもそも少ない、ということだというのも納得です。
当然支援する側(行政や助成金を運営する財団)にとってもより多くの留学生を送り出すアドバンテージがあればよりその対象人数も増えるだろうけれども現状の支援者数は、そういった現状を反映しているものだと考えると、もっとそのメリットを深堀りして訴求する必要はあるのかな、と感じました。
また、英語でのコミュニケーションやそもそも授業等を英語で受けるといった経験を日本でしていないと留学したいという挑戦心にも結び付かない、というのは現場の教員として(しかも英語科を担当している身としては考えさせられるものでした。)
発表上の課題
まずは「じゃ、どうするのか?」という具体的なアクションが見えてこなかったのでそちらの立案を考えてください。そして、そのアクションは誰に対して(ターゲット)、どのように(方法・方策)、どの規模で実施するかを規定してください。その3点を定めた根拠もあせて考えるとより強固な提案になると感じました。
D班
福井県は岐阜県と何が違うのか?事実ベースで情報を比較していたのが印象的でした。ただ留学先が英語圏に限るとそうなのですが、別に英語圏に留学しないといけない、訳でもないと思うので、「そもそも何のために留学をするのか、させるのか?」という根本の部分でおそらく「大学入試に有利な英語力を高めるため」という前提があるからそうい話になるのかな?と発表を見ながら自分なりに解釈しましたが、プレゼンする時にそこの前提まで整理しておくと良いのではないか?と思います。(しかし、そうすると留学先は英語圏に限った方がメリットが高い、という議論になりますが果たしてそうなのかな‥という疑問もわいてきました。)
気になったのは、
英語力が高い県だから、留学者数が高い
ならば、
英語力が高い他県は本当に留学者数が多いのか?
英語力が低くて、留学者が多い、
英語力が高いけど留学者数が多くない、
そういうケースは無いか?
あるならそれは何故か?といった焦点が当たってない部分に類推を働かせて分析すると、より議論として深みがある議論や提案になると思いました。
E班
一人当たり30万円と「予算がすくない」という点を数字で示していたことが初めに説明されていました。ただ、途中で「留学制度に対しての認知度が低い」「SNS等で認知度を上げるべき」といういつものパターンがようやく来ました。
「SNSで認知度UP」は大抵、既出です
地域探究に関わっていると学校単位でも、県でのイベントでも多くの提案にSNSの活用が含まれますが、自治体も企業もSNS活用では苦しんでいます。トビ立て留学ジャパンもSNS展開は当然しているわけですが、みなさんの目には留まっていないのが現実です。ここに課題を感じるのであれば、
トビ立て留学ジャパンはどのようなSNS展開をしているのか
SNSの種類は何を使っているか?
SNSごと、またはメディアごとに、どのようなターゲットを設定してるように想定できるか?
形式は高校生に適切か?
メディア活用はどの分野でもキーにはなるのですが、日本ではまだあまりうまく活用して認知を高められてるとは言えないので、このあたりを深堀するとより有効な方策が見つかるかもしれません。
金額増額、言うは簡単だけども・・
確かに一人当たり30万円の支援で留学が促進できるか?と言えば難しい数字だと言えます。そもそもその数字の根拠は何でしょうか?30万円を50万円に増やした根拠は何でしょうか。そもそも留学にはどんだけお金がかかるのでしょうか?数字というのはあくまでも事実ですがその数字に意味を持たせる理由付け、根拠を示す必要があります。岐阜県としても無尽蔵に税収があれば、増額も可能でしょう。しかし不景気や産業構造の変化、人口減少で税収が上がる要素は見当たらないのが現状です。その中である支出を増やす、ということは「ある支出を減らす」しかありません。つまり予算を他から「ブン捕る」必要があるわけで、取られる側からしたら「なんでだよ!?」となるわけです。ですから「誰にでも理解できる理由付け」ができないと予算増額は難しいわけです。県民全体が納得できる理由付け、立て付けを考える必要がありそうですね。(これは行政系進路に関わる人にとっては非常に良いトレーニングですからどのチームにも参考になる、と思いますよ。)
F班
実際の金額について、裏付けを添えていました。たとえば
岐阜県予算約1千万、
一人当たり支援額30万円ー航空機代は賄える、
お金をなるべくかけないで(在留外国人の活用など)意識を高める、というプランを提案していました。確かに、実現可能だな、と感じる部分もあるのですが「0予算で出来る」と考えていることが本当に費用0なのか?ということはよくあります。例えば、日本・岐阜に住む外国人の方にどうやって集まってもらうのでしょうか。広報や何かしらの手段で彼らと連絡を取る必要があります。それをだれがするのでしょうか?公務員ですよね。公務員であっても通常業務は決まっており、追加の業務は「コスト」になるわけで、働き方改革が叫ばれる中本当にそういった業務を追加できるのかな?というのは思いました。しかし「得られるメリットがコストを上回るーコストアンドベネフィット」の観点から言えば、もしそうであると言え、訴求できるのならば、可能ではないかと思います。是非、次回までにポイントを絞って深く情報収集されて実現可能性を高めてプレゼンテーションできるよう準備してほしいと思います。